2014年11月9日日曜日

千の風になって

牧師 山口 雅弘

 先日、祈りと共に永眠者記念礼拝を捧げることができた。礼拝では取り上げなかったが、メッセージの準備の際に次の詩を思い起こしていた。原詩は12行の英語の詩で、作者不明。アメリカ先住民のナバホ族の誰かが作ったという説もある。この詩を訳した新井氏が歌い始め、テノール歌手が歌って有名になった「千の風になって」という詩である。

千の風になって
(新井満氏 翻訳)
 
私のお墓の前で 泣かないで下さい
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹きわたっています
秋には光になって 畑にふりそそぐ
冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる 
夜は星になって あなたを見守る

私のお墓の前で 泣かないで下さい
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に 千の風になってあの大きな空を 吹きわたっています
 
千の風に 千の風になってあの大きな空を 吹きわたっています
あの大きな空を 吹きわたっています

 この詩の根本思想はアミニズムに近いだろう。森羅万象に魂が宿り、風や光などあらゆるものに精霊や命が宿っているという宗教観である。キリスト者の中には同意できない人もいるだろう。しかしこの詩には、命と死、また復活の生命を示すものが見られる。聖書が示す「風」は神の聖霊(精霊)を意味し、その「風」の生命によって生かされる人やすべての物を示していると受けとめることができる。

 またこの詩には、大胆な逆転の発想が見られる。と言うのも、「私は死んだけれども、風になり、星や光になって、あなたのそばにいる。私が死んだからといって、もう嘆き哀しまなくてもいい。風や鳥のさえずり等を通して私を感じ、さあ元気を出して生きてほしい…」と、死者が生者を慰め励ましているからだ。だから大切な人を亡くした人の心に訴えるのであろう。

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